合同会社デメテル
合同会社デメテルのHPをご覧下さり、ありがとうございます。私のこと、会社のことを少しお話しします。
料理を切り口にイタリアを知りたい
私は東京生まれ、大学を出て結婚し、
様々なアルバイトをしながらも主婦でおりました。
主婦の合間にイタリア歌曲を習うようになり、
歌詞をわかりたくてイタリア語を習い始めました。
もともとイタリアが大好き、
豊かな芸術、
様々な民族が入り乱れた複雑な歴史、
明るい太陽が降り注ぐ地中海に面した風土、
垢抜けたファッション、
おいしい郷土料理、
イタリアのなにもかもに惹かれておりました。
イタリアのあれこれを学ぶうちにイタリア料理を食べる機会がふえ、
郷土料理の一皿にはその土地の風土や産物や働き方、
支配した人々の出自や歴史、
様々なものが凝縮されていることがだんだんわかってきました。
150年前まで総てばらばらの国だったイタリア、
そのそれぞれの土地を料理を切り口に知る、
土地の人々と暮らしながら一緒に厨房で働いて土地のことを学ぶ、
そんな時間がいつか持てたらいいなあ、
と憧れるようになりました。
子供も独立し親も見送ることができた時、
今こそ自分のために時間を使おうと思いました。
そして、しまってあった憧れを思い出しました。
家族の理解と支えを得てイタリアに旅立ったのは2013年のことです。
以前から校長先生を存じ上げていたルッカイタリア料理学院で
プロコースに入れていただきました。
2ヶ月の研修後、
師匠はパルマ郊外コレッキオにある歴史あるレストラン、
Ristorante Villa Maria Luigia di Ceci に私を送り込んでくれました。
このレストランは築200年の館を使い、創業56年になります。
ナポレオンが政略結婚した妻、
ハプスブルグ家の娘でもあるマリア・ルイージャは、
ナポレオン亡き後女公爵としてパルマを治めました。
そのマリア=ルイージャ女公爵が狩りに使った館です。
イタリア人と生活を共にしながら厨房で働いた日々は、
たくさんの学びがあっただけでなく、
パルマの豊かな食文化やベルディをも生んだ芸術にふれ、
たくさんのよい友だちに恵まれました。
バンキーニとの出会い、合同会社デメテルの設立
そんな日々の中、
「ジュンコ、僕の友だちのバンキーニのチョコレートを日本に紹介しない?」
と仲良しの一人にいわれたましたが、
「とんでもない!」と即座に断り、
学びの1年を終えて私は日本に帰りました。
「バンキーニはパルマ最古のチョコレート店、
その品はおいしいだけでなく、
パルマの豊かな食文化を背負っているんだよ。」
ちっとも諦めない友だちの言葉に少しずつ心を動かされ、
2015年12月7日、
とうとう私は小さな会社、合同会社デメテルを起こし、
2016年、バンキーニのチョコレートの輸入を始めました。
*デメテルは、ギリシャ神話に出てくる農業の女神です。冥界の王ハデスに娘ペルセポネーをさらわれたデメテルは、娘を取り返しに冥界に乗り込みました。ハデスは「返してやるが、すでにペルセポネーは冥界の食べ物を口にしてしまったから一年の半分しか地上にはいられない。」と答えました。娘が地上にいる間はデメテルは喜び、草木が豊かに茂ります。娘が冥界に去ると、デメテルが嘆き悲しむので、草木が枯れていきます。こうして四季が生まれたのだと神話は語ります。
パルマの豊かさを日本の人々に
大切な友人たちの輪から生まれたこの仕事をきっかけに、
パルマの豊かさを日本の皆さんに伝えられたらいいなと思います。
個人的に知り合った作り手の、
伝統的に丁寧に作られた品、
自分が心からおいしいと思える品だけを
ご紹介していこうと思います。
選び抜かれたパルマの味をどうぞご賞味下さい。
合同会社デメテル 代表 輿石淳子